AEVE ENDING
「それで、組織の関係者は絞れたの?」
どこまでも冷静な雲雀が尋ねたが、奥田は生憎、と肩を竦めた。
「それがサッパリ。まあ今んとこ、傀儡が出来るアダムは世界に数人しか居ないんだが───」
「…対象は人形。生物を傀儡にできるアダムはいない」
傀儡───いわば操り人形のことである。
意志のない物体に念力で筋力と釣り糸を与え、それを自在に操る。
筋肉を動かすための軸をうまく駆動させる繊細さと能力、人体の仕組みに医者と同等、或いはそれ以上詳しくなければまずできない最高に難易度の高い能力。
これはあくまで対象が意志のない人形である場合だ。
これが人間だとすれば、それ以上の技術と能力、精神力を要することになる。
「そんな大層な術をできる奴がいるんなら、すぐにわかようなもんんじゃねぇ?」
真醍が間抜けな声を出す。
あまり緊張感が感じられないのは、この暗い世界では寧ろプラスだろう。
「意図的に隠してる場合もある。一概には言い切れない」
すかさず真醍を遮ったのは雲雀。
雲雀の言葉に、奥田も賛同するように頷いた。
「…それでちょっと試したいことがあるんだけどね、―――雲雀くん」
くるりと雲雀に向き直ると、奥田はにぃまりと嗤って見せた。
そのなり損ないの不細工な笑みに、雲雀は不愉快を隠しもせず眉を寄せる。
ふたりで通じ合うなにかが理解できない倫子と真醍は、同じ方向に首を傾げた。
(…試したいこと?)
雲雀は鬱陶しそうに重い溜め息を吐き出す。
「―――僕に傀儡をしろというの」
雲雀の言葉に、奥田は満足げに微笑んだ。
倫子と真醍は、その言葉に目を丸くするしかない。
(傀儡をする?)
「え…、だって、人間にはできないんだろ!?」
不思議そうに眉を顰める真醍に、奥田はふふ、と嗤って見せた。