AEVE ENDING
「…とにかく、そこまで巨大な組織相手に雲雀くんまで取られちゃったらもうほんと、アダム帝国建国確実だからね。早く手を打たなきゃ、みっちゃんも可哀想だしぃ」
そう言いながら倫子の頭をよしよしと撫でる奥田を、真醍と雲雀は奥田をじっと見ていた。
(一保健医がどうしてここまでするのかが、疑問なんだろうな…)
倫子はぼんやりそんなことを考えていたが、ふたりの考えは違ったらしい。
真醍は、何故、「倫子が可哀想」なのかわからない。
雲雀は「触るな小汚いのが更に汚くなる」である。
倫子の予想は当たらずとも遠すぎた。
「じゃあハイ。この単純馬鹿に試してみて」
「は…!?…っぶ!」
奥田が倫子の頭を撫でていた手をぽんと肩に下ろした。
そのまま両肩をぐっと掴み、雲雀に押し投げる。
勢いあまってソファに腰掛ける雲雀の膝に、思いきり鼻をぶつけてしまった。
「…っちょ、いやなんだけど!操られるって、つまり意識も記憶も全部乗っ取られるってことでしょ!?」
そんなの断固拒否だ!
ぐいぐい押しやる奥田の力に、雲雀の膝を掴んで対抗する。
「いやいや、やってみないとまだなぁんにも解んないからね。まぁ、意識は乗っ取られるだろうけど。なにせ操るわけだから」
しかし、奥田の馬鹿はとめようとしない。
何故ならば、他人事だからだ。
「いやだっ」
「大丈夫だって、橘。人類初の体験になるかもしんねぇべ」
「お前は黙ってろサル!」
「あ!真醍さん、きーずついちゃったぁ」
「山に還れ!」
そろそろ我慢も限界である。
しかし奥田も真醍も、懐柔するどころか脅すだけだ。
「大丈夫だって倫子ぅ。よちよち、怖くないぞぅ」
「ちょ、加齢臭がくさい」
「あ、たきおさんも傷付いちゃった~」
「朽ちろ!」
しかし抵抗虚しく、真醍の力も加わり、ぐいぐいと明らかに雲雀の胸めがけて押しやられていく。
(冗談じゃない…!)
未知の術にはめられるくらいなら、まだ役立たずと罵られた方がマシだ。