AEVE ENDING
そんなこんなで倫子がトイレで唸っている間、水を飲んでだいぶ回復したらしい雲雀が――それでも珍しく億劫な足取りで――真醍と奥田に質問責めにされていた。
「ねぇ、どう?どんな感じ?」
「ていうか雲雀のその窶れた感じに、欲情しそうな俺」
「あ、ちょ、真醍くんそんなヤバい発言はなしの方向で。まぁ俺も同感なんだけどね!テヘッ!…そんでどうなの、雲雀ちゃん」
「ていうか橘のやつ、大丈夫か?つまり傀儡って操り人形なんだべ?…やんべぇー卑猥」
「ばか!真剣な話の途中で猥褻な言葉を吐くな!エロいお猿さんめ!」
「エクスタシーとか」
「…ちょっと黙っててくれない」
珍しく本気でキレそうになっている雲雀が、とうとう口を開いた。
馬鹿ふたりの相手をしなきゃならないのかと思うと、トイレに籠もっている倫子を憎らしくも羨ましくも思える。
―――そして数分後、倫子がトイレから出ると、丁度、雲雀が馬鹿ふたりに先程の説明を終えたところだった。
「倫子、気分は?」
「さっきよりはマシ…」
雲雀と目が合う。
さっきよりだいぶ血色が良くなっていた。
良かった良かった。
「つまり、一時的であれ倫子は雲雀くんの傀儡に成り得たわけだね」
奥田の言葉に、倫子がこくりと頷く。
あの全身に走る違和感と酷い不快感だけは、思い出したくない。
「これで生物に対する傀儡が不可能ではないと立証できたわけだけど、…しかしねぇ」
奥田がやる気なさげに溜め息を吐いた。
そうなのだ。
可能であったからこそ、問題も出てきた。
「倫子相手でここまで疲労しちゃうとなると、雲雀くんを傀儡にするには相当な精神力が必要になるんだ」
精神力も潜在能力も産まれつきのストッパーも、倫子の倍以上――というより、倫子は元々人間なので比べる対象にすらならないのだが。
「…だからこそ狙っているんじゃないの、橘を」
雲雀の言葉に、ひくりと倫子が震える。
··
「敵は何故か、僕の能力が橘にも存在していると考えているようだし」
それはそれは冷ややかな声色だった。
けれどそれが向けられたのは、倫子ではなく、奥田。