AEVE ENDING
もうすぐだよ。
もうすぐ、復讐が始まるんだから。
───もうすぐだよ…。
『だから待っていて、僕らの神様』
真っ白だ。
なにも見えないし、なにも聞こえない。
光が溢れているからじゃ、ない。
これは、全ての色が削ぎ落とされて、だから、真っ白。
───なにも見えない。
『…もうすぐだよ』
神経を駆け巡る声は歓びに打ち震えている。
―――この声は。
(…り、)
なんて不愉快だろう。
人の頭の中を勝手に踏み荒らすなんて、酷く。
『もうすぐだよ、神様』
うるさい。
(ひばり)
あぁ、もう。
「…雲雀」
真っ白な世界が急速に狭まっていって、弾けた。
瞼を開ければ、見慣れたようで見慣れない間抜けな顔。
薄闇に光る傷んだ髪の光沢が、未だ醒めきらない眼に痛かった。
「なに、してるの」
いつもより掠れた自分の声。
夢の名残だ。
「…魘されてたよ」
雲雀の顔を覗きこんでいた倫子がほっとしたように息を吐く。
その吐息が、唇を掠めた。
「誰が」
「お前がだよ」
ぱしりと額を叩かれた。
大した痛みもない。
(……度胸だけは認めるよ。僕に手をあげるのは君くらいだ)
微かに朦朧とする意識下で、口に出しているのかいないのかすら判断しかねた。
「やな夢?」
倫子はなにを思ったのか、ベッド脇に腰掛けて雲雀を宥めようとする。
伸ばされた手を払いのけなかったのは、きっとまだ寝ぼけていたからだ―――そうに違いない。
額の髪を掻き分けるその指は期待外れに暖かく不快だったが、妙に丁寧に撫でるから拒否する気も起きない。
「夢というより、荒らされた」
雲雀の言葉に、倫子は小さく頷く。
「…さっきまで同じ夢を見てたよ。多分、あんたに同調しちゃったんだろうけど」
そう言って笑う彼女の顔は妙に意味深で、それが何故か、気に障った。
(囚われていることは、彼女にとって、つまり…)