AEVE ENDING





「…人の部屋に無断で侵入して、あまつ部屋主を縛りつけてるイカれた野郎共に礼儀云々、言われる筋合いはない」

尤もなことを口にすれば、複数の気配がさざめいた。


「今の状況で、よくそんな態度が取れるね」
「馬鹿だから解ってないんじゃないの?今から自分がなにされるかなんてさ」
「…バカな女」

当の本人を前にさざめきあうは結構だが、お前等にだけは無神経呼ばわりされたくない、と倫子は心底から思う。
ぎちりと、拘束された腕が鳴いた。

「外そうとしても無駄だよ。物理的な束縛じゃないからね」

下卑た嗤いが耳に障る。
とんだ災難だ。
眠っている間にこんなことされてる間抜けな自分にも腹が立つ。

(テレパスで助けを、―――…)



「テレパスで助けを呼ぶことも無理よ。私の電磁波で妨害しているから」

電波女の登場で退路も断たれた。最悪だ。


「───ねぇ、なにして欲しい?」

近付いてくる気配に緊張が走る。
笑みと共に放たれた問いは、哀れなほど愚直であったが。

「なんでもしてあげる。…指の爪を一枚一枚剥いであげることも、男にレイプされちゃうのも、全部、あんたの望み通りよ」

からからと女が嗤う。
醜悪な感情だと、無駄に覚めた目で思った。

なにが望み通りに、だ。


「なにして欲しいって…、帰って欲しいに決まってんじゃん。そしてシネ」

声だけが健在なのは本当に救いだった。
この自由にならない身体の代わりに、自身の意志を全面に出せる「もの」。


「…それだけは、駄目」
「君には償ってもらう罪が、沢山、在るよ」

にぃまりと笑みが暗闇に滲み出る。
それから、延びてくる白い腕、腕、腕。

何人いるんだよ。



「なにが罪だ、莫迦が!触るな!」

つらりと延びてきた腕に伸びた前髪を鷲掴みされた。

「っ、」

そのまま上向かされて、ベッドマットに額ごと深く押しつけられる。


「なんでもいいんだよ。あなたを二度と、立ち直れないほど、傷付けることができるなら」

こっちは全然良くねぇよ、と叫ぶ前に口を押さえつけられた。
押さえ方があまりに乱暴で、前歯で唇の内側が切れた。





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