AEVE ENDING
「…お怒りはごもっともです。ですが雲雀様、どうか、ご容赦を」
一句一句丁寧に吐き出された言葉は鼓膜を振動させ、頭のなかで反響するようにボリュームを上げてゆく。
「…ご容赦を、雲雀様」
そして、念を押すように、もう一度。
螺旋状に巡る目玉が、雲雀を捕らえたまま離れない。
―――が。
「催眠のつもり?生憎、僕には効かない」
雲雀はすぐさま首を傾げ、蛇から目を逸らして見せた。
あっさりと見破られてしまった蛇といえば、一瞬だけ目を見開き、しかしすぐに嘆息を漏らす。
「…相変わらず、良い「眼」をしてらっしゃる」
蛇の賞賛に不愉快そうに鼻を鳴らすと、雲雀は再び進行を開始した。
それを阻むように、蛇の手が前方――─雲雀へと伸びる。
その骸骨のような指先に集約されたエネルギーの大きさに、雲雀は煩わしげに眉を寄せた。
「手荒な真似は、したくなかったのですが」
心底からそう思っているらしい蛇の指先から、陽光に煌めく一線が伸びる。
それが視界を掠めれば、網膜が焼き付くだろう。
「小細工が好きだね」
矢のように飛ぶ光線のそれを難なく避けた雲雀だったが、避けた瞬間、蛇に腕を捕られた。
「…、」
「油断しますな、雲雀様」
一瞬にして雲雀のもとまで移動した蛇はすぐさま腰を折り、捕らえた細腕に力を込める。
ぎしり。
その骨と皮しかない体のどこにそんな力があるのかと、目を見張るほど。
「お帰りくださいませ、雲雀様」
骨が軋む音を耳に、雲雀はさも愉快だと唇を歪めた。
「馬鹿だね」
ぐ、と腕を捻る。
捕らえる力をものともせず、掴まれた腕を蛇の腕ごと巻き込むように。
「な、」
その超絶な力に、蛇の軽い身体は簡単に内側へと引き込まれた。
「…っ!」
視界が反転した瞬間、体が理不尽に宙に浮く─―─と、そのまま重力に従って落下するように壁に叩きつけられた。