AEVE ENDING
「死にそう?」
「…ハ、今更」
「だよね」
今にもぐらつきそうな体に腕を伸ばす。
背中から抱えこむように回された腕に、ひくりと肩を跳ねさせながらも、倫子は痛みを堪えるように眉を寄せた。
「すぐ済むよ」
「…そう願う」
ぐい、とその痩身を肩に抱え上げれば、倫子は荒い息を吐いて身を委ねた。
「そんな荷物を抱えて、私に勝つ気かね?」
桐生が片腕を上げる。
祭壇の奥から、キシリと音を立てて五体のマネキンが飛び出した。
「…少し違う」
それを一瞥しながら、雲雀は口角を上げる。
「―――殺すつもりでいくよ」
キン…。
耳に刺す金属音に嫌気がさす。
好むのは、それではなく肉が裂ける音だ。
「…、」
等身大の関節球体人形が、雲雀目掛けて腕を振り上げてきた。
作られた爪は全て剃刀が仕込まれているらしく、ギラギラと切れ味の悪そうな光を放っている。
「…小賢しい」
苛立たしげに吐き出しながら、それらを薙払う。
同時に少し電流を流してやれば、「彼女」の指の関節はガシャリと無機質な音を立てて歪んだ。
「…大事に扱ってくれたまえよ。彼女達には随分と私財を投資している」
「少し黙りなよ。口を開く度に自分の変態っぷりを曝け出しててて気持ち悪いよ、貴方」
キィ…キィ。
噛み合わせを狂わせた疑似関節が、嫌な音を立てて雲雀を追いたてる。
到底、人では不可能と思われる速い駆け回りで、剃刀付きの爪を振り回した。
それを無駄な動きなく器用にかわしていく雲雀と、その肩に担がれた倫子。
倫子といえば、雲雀が動く度にうぇ、ぐぇ、ぎゃあ、と無様に呻いてばかりいる。