AEVE ENDING
「橘を殺るのは僕だ!」
「なによ、私にだってその権利はあるわ!あの女、私のことブタ呼ばわりしたのよ!」
「それなら僕もだ!尊敬する雲雀様を目の前で侮辱された!」
「個人の恨みよりなにより、雲雀様を馬鹿にした態度が許せない!」
そうしてロビンがひたすら悩みに悩んでいる間も、倫子の相手に名を上げる者は尽きない。
一体、どれほどのアダムにどれほどの恨みを買っているのか。
その上、先程の挑発である。
ロビンは考え過ぎて頭痛を覚えた。
もはやホールの生徒達の興奮は抑えられそうにない。
「―――橘」
そうしたざわめきの中でも失われない、凛とした声。
それに反応して、ゆるり、倫子がこちらに視線を向けた。
まるで彼女の耳だけを狙いすましたように届いたそれは、興奮に沸きたつ生徒達には聞こえていないかのように辺りは騒がしいままだ。
修羅は笑っていた。
橘倫子も、同様に。
「…わかってるよね?」
見たこともないような微笑を浮かべ、雲雀は危機に陥っている筈の非力なパートナーに問い掛けるのだ。
その微かな問いは、ざわり、喧騒に飲まれて消えたかと思えばもみくちゃにされて橘倫子へと届く。
「任せろよ」
そうして笑う橘倫子と雲雀は、同じ顔をしていた。
(それがすこしうらやましかったなんて、すなおにみとめることすらできやしない)
「…俺がやる」
―――だからか。
気付けば怒涛の挙手の嵐の中、一歩前へ踏み出したロビンはそう口にしていた。
賓客である彼のまさかの立候補に、騒がしかったアダム全員がこちらに注目し、静まる。
「ロビン?」
訝しげなニーロの声が痛い。
今は聞くな。
自分でもわからない。
ちらり、視界に入れた雲雀はやはり余裕の表情を見せたまま。
(…バッキャロ)
それがやはり悔しかったなんて、理由になるか、バカロビン。