AEVE ENDING
『―――本来、アダムの能力は戦闘には向かないものが多いからね』
それでも使いようによっては矛となり盾にもなるわけだ。
精神系はコントロールが緻密過ぎて使えない分、パワーとバランスで押すしかない。
幸い、ロビンも駆動系のアダムらしい。
(…こっちのハッタリもセコい手も、やりようによっちゃ、効くかな)
こちらを窺っているロビンを牽制しつつ、右手に力を集約させる。
―――ぢり。
ロビンには気付かれないよう抑えに抑えた力であっても、やはり諸刃の剣となるか。
皮膚が焼ける感触を覚えつつ、しかしまだ、まだ。
睨み合いが続く。
互いに退かない。
機会を窺っているのか、或いは待っているのか。
油断すればすぐさま引き裂かれてしまいそうな緊迫した空気の中で、冷や汗がつるりと皮膚を伝っていく。
握った手の平に込めた、気体を象った力はもう充分。
(―――来いよ、)
ぽたり。
顎を伝って汗が落ちる音を聞いたと同時、ロビンが動いた。
猛スピードでこちらに走ってくる。
おおよそヒトの肉眼で確認するのは無理なスピード―――能力だ。
(掛かった!)
引き寄せて引き寄せて引き寄せて、ロビンとの距離、あと三歩―――それでも動かない。
(まだ、まだ……まだだ、)
周囲のアダムは、あまりの速さに動けないのだと倫子を嗤った。
そうして、ロビンの拳が倫子の鼻に直撃する―――それを擦るほどギリギリで避けた瞬間。
(―――今だ!)
野球ボールをイメージした器の中にぎゅうぎゅうに抑え込むよう圧縮させた能力を、近距離のロビンの目の前に突き出した。
本来なら形を持たない力をボール形に押さえ込んでいたコントロールを解除する。
―――パァンッ。
「うわっ」
ロビンの視界の正面で水風船のように破裂したそれは目眩ましだ。
コントロールを解かれ、暴発したそれは、空気に触れて化学反応を起こし辺りが白くなるほどの閃光を放つ。
勿論、失明に至るほどのものではない。