AEVE ENDING
「…いってえ、」
完全に無防備だった両目を潰され、幽霊のようにふらつくロビンにすかさず手を伸ばす。
まだ、終わっていない。
固く閉じられた瞼を腕で庇うようにしているその頭を両手で鷲掴んだと同時、視界を奪われ弛緩しきっていた体を一気に地面に引き寄せた。
「っ…!!」
つるりと美しい額を、下で構えていた膝にぶち当てる―――こちらの皿も割れそうに痛い。
骨と骨がぶつかる、無駄に痛そうな衝撃音が辺りに響き渡った。
予想外の展開に、いつしか「コロセ」コールは鳴り止んでいる。
「へぇ…。アイツ、能力の使い方、巧くなったのな」
群衆の中で楽しげにタイマンを眺めていた武藤が感嘆と呟く。
その横に立つ朝比奈は、蒼白になっていた。
「し、使節になんてことを…!」
戦いが始まる前は倫子を危惧していた朝比奈も、予想だにしなかったこの展開に驚愕を隠せないでいるようだった。
ここにいる全員が考えていることは同じである。
―――あの落ちこぼれイヴの橘倫子が、まさか。
「能力でケリを付けるんじゃなくあくまで補助電源扱いしてるってとこがミソだなー。タチバナンには持ってこいだべ」
やはりタイマンを傍観していた真醍が感心したように頷いた。
「まっさか、ここまで成長するとはなあ」
実の子と妻を島に置いたまま、倫子の成長を喜ぶとは父親失格だ。今更ではあるが。
「元々、戦闘センスと反射神経は鍛えられていたからな。あれなら巨大な力を消費せずに済む上、体力の温存にもなる」
冷静に分析する鐘鬼は胸の前で腕を組み、やはり感心したように倫子と倒れたロビンを観察していた。
セコい闘い方だと言われればそれまでだが、立派な頭脳プレイと言えよう。
猪突猛進の倫子が、よもやこんな頭脳プレイを見せてくるとは思わなかったが、鬼より怖い専属コーチを思えばこの程度の成長、当然である。
寧ろまだ足りない。
まだ巧く、闘える筈だ。