AEVE ENDING
雲雀に気を遣った真鶸が紅茶を運んできた。
「お、イー匂い、な」
「真鶸の淹れる紅茶はうまいよ。真鶸ぁ、私も飲みたい」
「あ、俺もー」
…あ つ か ま し い。
背後で繰り広げられる和やかな会話に、眉間の皺が深くなるのがよくわかる。
部屋に漂う紅茶の柔らかな香りすら、あの男と共有してると思うと気に喰わない。
(さっさと帰れ)
不愉快をそのまま内心で吐き出した言葉に寧ろらしくないのは自分だとわかっているのだが。
(…大体、初対面であんな橘を見ておいて、なにを今更、近付こうっていうの。なによりアナセスの側近ならアナセスにくっついていればいいのに管理がなってない。橘も橘だ。バカみたいにお人好しな性格、どうにかすればいいのに。毎回毎回自分に仇なす人物に良い顔し過ぎだ、バカじゃないの)
止まらない思考に寧ろお手上げなのは自分自身だ。
ヒトはそれを嫉妬と呼ぶが、おおよそ自分には預かり知らぬ感情であった。
―――いや、気付いていながら寧ろ、認めたくないというところか。
(…橘なんか、知らない)
子供染みたそれはきっと、彼女を喜ばせる要素にしかならないのだろうが。