手紙
あなたはいい人、と呼ばれていましたが、私にはなぜそう呼ばれるのか不思議でなりませんでした。学校の七不思議の一つではないか、と疑ったくらいです。
あなたは自分が誰かのために何かをするとき、必ず、して「あげる」と言うのを気づいていましたか? こんな上から目線に気づかないなんて、周りの人間の注意がどれほど散漫か窺い知れます。
彼女はそれを「善意」と受け取り、ついて来てもらうことにしました。
私は偽善を、悪いことだとは思いません。人間誰でも、他人からいいように見られたいと思うのは普通のことであり、それを責める資格など誰にもありはしないのです。しかしあなたの「善意」は偽善ではありません。ただの余計なお世話です。彼女もそう感じていたのではないでしょうか。
『邪魔だ、と思い始めたのは、試合を見に行ったときだ。それまでは心強いと思っていた。けれど、いざ渡そうとなったときまでついて来るのは、どうなんだろう。彼は快く受け取ってくれた。嬉しかった。でもあの子にまでお礼を言っていた。用意したのは私で、計画を立てたのも私なのに。
悔しい、とは思ったけど、すぐに思い直した。わざわざついて来てくれたのに、邪魔者扱いなんて無礼にもほどがある。
彼は試合に負けた。励ましたかったのに言葉が出なかった。話したのも今日が初めてだったし、私なんかが口出しできるようなことではないと思ったから。
なのにあの子は私の背中を押して彼の前まで行き、「お疲れ様」と言った。私もすぐに言ったけど、彼はあの子を見ていた。私のほうなんて全く見ていなかった。
悔しい。また思う。だめだ。でも、悔しい。
やっぱり、邪魔だ。』
彼女がもう少し冷静ならば、あの人が彼女を見ていなかった理由を知ることができただろうに。あの人は決してあなたに気があったから、あなたを見ていたわけではない。彼女が自分より優秀だから、見ることができなかったのです。簡単な消去法でしょう。彼女が見られないなら、あなたを見ればいいのです。
あなたは自分が誰かのために何かをするとき、必ず、して「あげる」と言うのを気づいていましたか? こんな上から目線に気づかないなんて、周りの人間の注意がどれほど散漫か窺い知れます。
彼女はそれを「善意」と受け取り、ついて来てもらうことにしました。
私は偽善を、悪いことだとは思いません。人間誰でも、他人からいいように見られたいと思うのは普通のことであり、それを責める資格など誰にもありはしないのです。しかしあなたの「善意」は偽善ではありません。ただの余計なお世話です。彼女もそう感じていたのではないでしょうか。
『邪魔だ、と思い始めたのは、試合を見に行ったときだ。それまでは心強いと思っていた。けれど、いざ渡そうとなったときまでついて来るのは、どうなんだろう。彼は快く受け取ってくれた。嬉しかった。でもあの子にまでお礼を言っていた。用意したのは私で、計画を立てたのも私なのに。
悔しい、とは思ったけど、すぐに思い直した。わざわざついて来てくれたのに、邪魔者扱いなんて無礼にもほどがある。
彼は試合に負けた。励ましたかったのに言葉が出なかった。話したのも今日が初めてだったし、私なんかが口出しできるようなことではないと思ったから。
なのにあの子は私の背中を押して彼の前まで行き、「お疲れ様」と言った。私もすぐに言ったけど、彼はあの子を見ていた。私のほうなんて全く見ていなかった。
悔しい。また思う。だめだ。でも、悔しい。
やっぱり、邪魔だ。』
彼女がもう少し冷静ならば、あの人が彼女を見ていなかった理由を知ることができただろうに。あの人は決してあなたに気があったから、あなたを見ていたわけではない。彼女が自分より優秀だから、見ることができなかったのです。簡単な消去法でしょう。彼女が見られないなら、あなたを見ればいいのです。