銀鏡神話‐翡翠の羽根‐
「ミサ! 無闇に支配力を暴発させては駄目だ!」

キャルナスは美紗の腕を掴むが、暴発する支配力に圧迫させられ、地に倒れ込む。

“フフ゛。忌々し゛イ支配力。

ワし゛ガ手゛に入レ゛る゛のを゛拒みよっ゛テ。

シェフィールドも゛ワ゛シの邪魔゛をスる!!”

ヴェルディは狂ったかの様に、叫び声をあげた。

金切り声……だが其れは白銀界を内から破壊して行く。

「!」

美紗はもう白銀界をが限界なのを悟ると、自ら白銀界を消滅させ、ヴェルディから離れる。

「さぁ、溶け込んできた。

私と此の生贄の歩調が、漸く、合わさって来ましたよ。」

くすくすと笑うヴェルディは、言葉に偽り無く、光矢に溶け込み始めた様だ。

声もくっきりとしている。

「貴女は、そうか。

やっぱりあの白樺の末裔か。」

白樺の末裔……何のことだ?

「折角、死刑にしてあげたのに。

金太か、其れともあの憎たらしい、彌羽の能力か?」

また、また其の話。

自分が死刑?

嘘だ、嘘に決まっている。

「ミサ、駄目です!

ヴェルディから離れ……」

キャルナスは魔法陣の準備に取りかかっている。

此の巨大にして強大な魔法陣で一気にヴェルディを焼き払う……だがキャルナスのシナリオは失敗に終わる。

「甘いぞ死神。

所詮は神に逆らえない愚者め。

解放してやろう。」

キャルナスを引き寄せると、ヴェルディはそっと念じた。






『パパ……ママ……』






キャルナスの記憶にうまれた綻びは、一度崩壊を始めるともう止まらない。

「あ……あぁぁぁぁぁああああ!!」

頭を抱え込み、キャルナスはガタガタと震える。

其れは母親を恐がる子供同然だった。

哀しい、あの顔をしながらキャルナスは怯えるのだ。

「キャルナス!」

駆け寄ろうとした。

美紗は仲間を守る……いや、護る為に。

だが理性を失った其の行動は、必ずや隙を生み出す。
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