銀鏡神話‐翡翠の羽根‐
『愚か者が!!

消えろ、ダーク・リップ』

ヴェルディは詠唱無しで魔法を発動させる。

詠唱無しで魔法を使える者……相当、魔学についての才能に満ち溢れている者だ。

大悪魔・ヴェルディ。

お伽話だけでは伝えきれない……彼は天に選ばれし者だ。

「!! ぐっ……あっ!!」

美紗はダーク・リップ……黒い鎌の竜巻に囲まれる。

右脚から何時の間にか大量の血が流れる。

何時の間にか……何時の間にかに死ぬ、ダーク・リップは気付かれぬよう殺す術だ。

「白竜!」

右腕を翳す。

出てきたのは名の通り白い竜。

竜は美紗を掴むと、空へと引っ張り上げて行く。

「竜を使えるのか。

なかなか面白い。」

にやけるヴェルディは余裕の表情。

そしてダーク・リップからの脱出が成功した美紗は、真っ先にキャルナスの元へと向かう。

「キャルナス!

キャルナス大丈夫!?」

美紗はキャルナスの背中をさする。

「……い」

小さな声でキャルナスは言う。

美紗は賺さず、キャルナスの口元に耳を傾けた。

「なに? どうしたの?」

「……なさい。

ごめん……なさい」

自分じゃない、何処か遠いい誰かに向かってキャルナスは言った。

其れが誰なのか、美紗に問う権利は無い。

「キャルナス、今キャルナスが恐れる者は無いよ。

私がいるから、大丈夫。

護ってあげるから。」

震えるキャルナスの右手を握り締める。

氷の様に冷たい。

支配力で少しキャルナスの心の傷を回復させると、美紗はヴェルディの元へ向かおうとする。

だがキャルナスは美紗の服の袖を掴む。

「行かないで……行かないで……」

何で此の人の哀しい顔は、此処まで美しいのだろう。

見る者全てを魅力する、彼のルビーの瞳から、大粒の涙が零れた。

「私はずっとキャルナスの傍にいる。

でも先に、貴方をこんな目に合わせた彼奴を倒す。

ね、待ってて。」

彼女は瑠璃色の短刀をキャルナスに自分の代わりと、握らせた。
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