銀鏡神話‐翡翠の羽根‐
紫の短刀と、蒼の短刀はヴェルディの両脚に、
橙の短刀と、緑の短刀は両手首に、
そして黄の短刀は頭部にグサリとまではいかないが、軽く刺さる。

「廻れ。」

ヴェルディは始めて目前の敵からの殺気に鳥肌がたった。

恐れたのだ、赤月 万里を。

「ガウィトス・リラ・ヴァイラか!?」

「大正解」

ガウィトス……始まりの神の名だ。

つまり、ヴェルディが昔、神界を撃ち落とそうとした時、アリアードを下界に転換した神だ。

「ガウィトスの使ったヴァイラ。

どれだけの威力かな?」

ガウィトス・リラ・ヴァイラは名の通り、ガウィトスの使うヴァイラ。

最強の高威力ヴァイラと言っても過言ではない。

ヴェルディも此は少しやばいと思い、回避しようとする。

だが、無花果の五本の短刀はピタッとヴェルディにくっついている。

「逝け。」

悪魔よりも遥かに悪魔の仮面を持つ、赤月 万里。

ガウィトス・リラ・ヴァイラは爆発した。

キャルナスは美紗を抱きかかえると、湖に飛び込んだ。


バンッバンッバンッバンッバンッ


赤い爆炎、嵐と台風が一遍にやって来たような爆風は、神授の森を焼き払う。

決して夕焼け空では無い赤い空に、神授の森から出て来た鳥の群が見れる。

湖の中にいた、天魚達は爆炎に熱しられたのか、次々と死して水面に浮上がって行く。

(美紗……死なないでください。

知っていますか?

私が貴女の事を想っている事を。

間口君の事が嫌いなのは、貴女を何時か連れて行ってしまうからなんですよ?

生きてください、どうか。

貴女がいなくなった世界で生きるなんて、私にはきっと出来ないから。)

キャルナスは水中で美紗を抱き締めると、詠唱をする。


(紫水晶の行楽に、

初音と共とし鶺鴒を。

愛の宿木、夢の浮橋。

狂いし黒薔薇、月兎の師。

マナリラ・プラーマ。)

長い詠唱の必要な皇位回復魔法……マナリラ・プラーマ。

王族が使う魔法だ。
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