銀鏡神話‐翡翠の羽根‐
『マナ!?』

レイセントとサリアはマナの部屋に向かう。

キャルナスはただ呆然と二人を見ていた。

『……ま……な……』

ベッドの上に横たわるのは顔を真白に染め、生気の欠片も無い我が子だった。

『ま……マナぁぁああアア……』

泣き崩れる母、口を噛み締める父。

キャルナスは幼すぎたのだ。

『どうしてこんな事になったんだ?

キャルナス。』

真剣な目をするレイセント。

こんな父をキャルナスは初めて見た。

屋敷を照らすランプは、今日は不自然な程揺れている。

まるでキャルナスの心をそのまま写し取った様な。

『マナを抱きかかえたら、外で鴉が大きな声で鳴いて……』

『落としちゃったんだな。』

頷くしかなかった。

『パパ、マナどうなっちゃうの?』

恐る恐る聞く。

レイセントはマナをキャルナスに抱かせた。

『冷たいだろう?

マナは、死んでしまったんだよ。』

嘘……

言葉が、言葉が出て来ない。

死んだ?

死ぬってなんなんだ?

死んだら人はどうなる?

『死んだら……死んだら皆終わりなのよ……。』

終わり……

『ぁぁぁあああ!』

サリアはキャルナスの首を掴むと、締め上げる。

『ま……マ……?』

初めて見る父の顔、母の顔にキャルナスは戸惑う。

何故こうなってしまったのだろう?

『やめなさいサリア!』

レイセントはサリアをキャルナスから突き放した。

『キャルナス、こっちへ来なさい。』

サリアを寝室に連れて行き寝かせ、
マナの遺体を引き取って貰うように病院に連絡を取る。

そしてキャルナスを自分の部屋に連れて行き、青い椅子に座らせた。

『マナはもう二度と動かない。

マナの時間は止まってしまって、一生また動き出すことは無いんだよ。』

のし掛かってくる、重いレイセントの言葉。

だが、問わなければ……此だけは。
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