ダーク&ノイズ
日が暮れ、賑わいを見せ始めた繁華街。

その片隅の狭い路地には、複数の若者がたむろしていた。

数えてみれば六人。そのなかに真知子の顔が見える。

「なあ、マジでそんな金くれんの?」

タバコをくわえた男はいぶかしげに真知子に詰め寄った。

「しつこいんだよ。絶対、約束すっからさ」

「お前、マジで大丈夫かよ?」

正樹は不安を隠さずに何度目かの確認をしたが

「なに、ビビッてんの?」

と、もう爆発すんでのモードに入っている真知子にたじろいだ。

それから何度も同じようなやりとりが繰り返されたが、とうとう男たちが折れたようなかたちで、その集団は移動を始めた。



黒いワンボックスに乗り込むと、車内で真知子は携帯を開いた。

「最初はどいつだよ?」

男らは正樹の友人たちで、真知子ともすでに顔見知りの者ばかりだ。その中のひとりが、最初の犠牲者を興味深げに尋ねてきた。

「吉川って、あんたらが輪姦したやつだよ」

「おー」

その名前を聞いて、車内は興奮に包まれた。

「また好きなようにしていいからさ、ちゃんとトドメは刺してよ」

「おお、キッチリやったるからよ」

車内は、大きな不安と興奮がいりまじる奇妙な高揚に満たされた。

携帯を耳にあてた真知子は、ひとさし指を立てて口につける。男たちは声をひそめ、唾を飲んでことの成り行きに注目した。

「あ、沙紀さんの友達の幸恵と言いますが──」

いきなり偽名を使う真知子の役者ぶりに、ひとりが吹きだしそうになるのをこらえた。


吉川という女生徒は、以前いじめを受けて退学した生徒だ。


その後、自殺未遂をしたと聞いている。

幸恵という名前は、彼女と唯一仲の良かった女生徒だった。
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