トドケモノ 【短】







カーテンから漏れる光りに目を覚ます。



どれくらい泣いたんだろう。


頭はくらくらするし、
目がひりひりする。



きっと、かなりひどい顔なんだろうな。


そう思うと、乾いた笑いが漏れる。



「ふ、ふふっ…。」



我ながら頭がおかしくなったんじゃないかと思う。



そんな馬鹿なことを考えていたとき



フローリングの上のケータイが着信を知らせた。



……だれ?



ゆっくり手をのばし、ケータイを掴む。



…………直…。





…なんで?

意味わかんないよ…。

…なんで今さら電話なんてしてくるの…?




あたしは、電話にでることが出来なかった。


ただ、じっと震えるケータイを見つめていた。




止まってはまたふるえだす。





なんでそんなに必死なの。



…もう、そっとしといてよ。



そう思いあたしはケータイをひらき、直からの着信を切った。





わざと切られた。ってわかってるはずなのに、


なのに、着信はさらに続く。





あまりのしつこさに、あたしはようやく通話ボタンをおした。






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