アリスの作り方
「縲」
「?」
私が自分の名前を呟いた瞬間、ジョーカーさんは不思議そうな表情で私を見つめた。
「アリスが二人いたら話しづらいでしょう」
冷笑しながら言う。
違うとわかっていても、その残酷なアリスさんと一緒にされるのが嫌だった。
「そうだね……縲ちゃんとアリス」
私の名前をはにかみながら呟くと目を瞑って下のほうを見た。
「名前か……記憶喪失で今は自分の名前を思い出せないけど、いつか……俺が名前を思い出したら……縲ちゃんも俺のことを名前で呼んでくれる?」
少し寂しそうな表情で言う彼を見ているのがいやで
「うん」
自分の中で作れる精一杯の笑顔で答えた。
「約束だよ。そうだ手貸して」
「良いけど」
そう言いながら右手を差し出すと、彼は自分の左手の薬指に私の右手の薬指を絡めた。
「指きりげんまん嘘ついたら針千本飲ます」
「?」
懐かしい歌。
どうしてこの世界にもこんな歌があるのかなと思いつつも、ジョーカーさんの優しさに包まれているような感覚が心地よく、そんな事はどうでも良い気がし、指切ったと言わずに未だに繋がれている小指をのんびりと見ていた。