アリスの作り方
「うわぁ」
「きゃっ」
紙一重の所でよけると、私達は投げられた方向…――スペードさんの方向を見た。
「お前……。何勝手にしゃべっている」
私の眼に映るのは一際機嫌の悪くなったスペードさん……。
どうやらジョーカーさんは押しちゃいけないボタンを押してしまったらしい。
仲間だから……やばいことくらい知っているはずなのに……わざと……?
「別に……。」
クスリと笑いながら爽やかに言う、その態度は良くないってわかっているのだろうか。
「別にじゃねえ!人のことを勝手にしゃべるな!それでなくても俺はお前が目障りなんだ。見ているだけで腹が立つ!女王がお前を“監視”しろなんて言わなければ、とっくにお前の目の前から消えている」
案の定さらに怒りが増したようだ。
体中からあふれ出す殺気が肌を伝わりピリピリする。
「相変わらず俺には言い方が厳しいねぇ。“記憶喪失”がそんなに信用できない?」
まるで他人事のようにクスリと微笑みながら言う。
「そうじゃねぇ!俺はお前が…っう…。」
そういった瞬間スペードが苦しそうな顔をしてひざをついた。
「僕はあなた方の口げんかが終わるのを待つほどやさしくはありません」
ティックの冷たい声が響いた。