アリスの作り方


「お前に……守られる……義理はねぇ…」


そう仲間であるはずのジョーカーさんに対しても冷たく言い放つ。

「そう言われても俺はあなたの部下ですから、あなたの盾となる義務があるんですよ。“リター隊長殿”」


目線はティックに向けつつもスペードさんを敬うように、今迄からは考えられない真剣な口調だ。


「あなたとは戦いたくなかったのですが……仕方ないですね」


とても悲しそうな目をしつつもジョーカーを見る視線に迷いはない。

「へぇ……これは……面白い見もの……だな」

スペードさんが一言呟いた。


また再び戦闘が始まる。



止めなくちゃ……。



「駄目!」



そう思った瞬間不意に言葉が出た。



「アリス様」


「アリスちゃん?」

急に話に入ってきた私に驚き皆していっせいに私を見つめる。


「ティック……スペードさんは今戦えない。それにジョーカーさんも手を出さないといっている」


無意識的に言葉が出てくる。


「アリス様はお優しいのですね」


そのことばを聞きながらティックが寂しそうに呟いた。
< 61 / 293 >

この作品をシェア

pagetop