星屑
真哉が謝ることじゃないでしょ、と彼女は言う。


とてもとても悲しそうな顔をして。



「あんな男となんかもう別れろよ!
子供も堕ろして、また俺とこの街で生きれば良い!」


あれほど一緒にいて、なのに初めて抱き締めた体は、思っていたよりずっと、細く小さなものだった。


例えば同じ布団で眠ったことだって何度もあったはずなのに、それはおかしなことだったのだろうけど。



「…宿った命を殺すなんて、出来ないよ。」


か細い声で、だけども静香はそう言った。


だから自分は、どうしてあんなことを口走ったのかな、とは、今でもやっぱり思うけど。



「なら、俺が父親になってやるよ。」


そう言ってみれば、彼女は驚くように、涙の溜まった瞳を上げた。



「俺らは抱き合うことは一生ないかもしれないけど、でもきっと愛し合っていけるよ。
静香のことは、俺がこの先ずっと守ってやるから。」


きっとあの頃はどうしようもなく子供で、だからやっぱり取られたくないという思いが強かったんだろうけど。


でも彼女は、静かに首を横に振った。



「真哉には真哉の人生があって、だからまだ17のくせにあたしの人生まで背負おうとしたらダメだよ。」


強い女だったのだろう。


とても眩しくて、そして出会った頃よりずっと綺麗だと思った。



「きっとね、あの人とは遅かれ早かれこうなるって思ってたんだ。
だから真哉の所為じゃないし、あたしはひとりでだってこの子を育てていこうと思ってるの。」


それは、いつもと同じように、決意した瞳。



「それでも俺らが親友であることに変わりないからな。」


ありがとう、と彼女は言った。


だからこれから何があろうとも、一番傍にいて支えてやりたいと、強く誓ったのだ。

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