君の声
真由は立夏の病室に来る前にナースステーションで立夏の記憶喪失の話を聞いていた
(しかもあの由衣って女の記憶って言うだもん…私にやっと運が巡ってきた訳よね)
「そんな顔なさないで?私悲しいわ」
「…そんなつもりありません」
由衣の記憶は失っても真由の記憶は残っている立夏
親同士が決めた好きでもない許嫁
キツい香水が鼻につく
立夏は出会いから真由のことがあまり好きになれなかった
自分にばかり媚びる表情、仕草
自分が「本郷の跡取り」でなければ構いもしないくせに、と思ってしまう
実際そうだろう