君の声


 「では…」

 「うん、…と、村田さん」

 「はい」


病室を出かけた村田が足を止めて立夏を見た


 「由衣に話があるから必ず来てって言ってくれないかな?」

 「はい、かしこまりました」


立夏の安堵した顔に村田は車の中で笑ってしまった


 「どうしたんです?」

律子が聞いた

篠田も興味深そうにバックミラーで覗いていた


 「いえ…立夏様も由衣様にたじたじだなと思いまして…」


村田の言葉に律子は


 「そうですね、もうすぐで落ち着かれますから…」


その時は本当にそう思っていた





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