ひだまり
新任
中学に入学した頃、体力テストなるものがあった。
特に体育は嫌いではなく、むしろ得意ではあったが、
得意であっても、持久力というものは大嫌いだった。

が、テストのなかに1000メートル走というのがあるではないか。

「かなっぺは速いからいいじゃん!!」
そう私に言ってきたのは、友達のエリだった。
「よくないよ~しんどいのきらいだもん」
「速いのに贅沢だよ」

そんなことを言いながら、私たちの番は近づいていた。

エリは小学校時代からの友達だ。
見た目はおとなしそうなお嬢様風なのだが、実はおおらかで非常に辛口であることに
とてもギャップがあった。
なんとなく気が合って友達になったが、好き嫌いのはっきりしているわたしにとって
はじめての長い友達だった。


「早く並びなさい!!」
体育教師の渡辺先生がキーキーと甲高い声で急かしている。
「さて、やるか・・・」
「かなについていこ~っと。」
エリがやる気を出しているようだった。

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