浅葱色の瞳に



―――――……



「いやはや…よもや此のような事態になるとはな」





呑気に手酌で酒をたしなむ勝っちゃんはぽつりと独り言を呟く





猪口へ注ぐ酒の頻度が早いのは気のせいでは無いだろう…
傍らには空いた酒瓶が二、三本転がっている




昔っからこの人は収拾の難しい事態に直面すると決まって好きでもねェ酒を煽る癖がある…





「夷人の娘を匿う等…言葉は悪いが真っ先に反対するのはお前だと私は思っていたが…良く許したもんだ」





「偶にゃ人助けも悪かねェだろ………罰の一つや二つ当たらねェさ」




「多摩の許嫁はどうするつもりだ」




「あァ?」




「………惚れたか?」



何の話と疑問を抱く前に…勝っちゃんは悪戯に小指を立て樮笑む



「ハッ…馬鹿言っちゃいけねェ…生憎だが餓鬼に手ェ出す程こちとら飢えちゃいないと先刻も言った筈だ」




変な気を回す…要らん世話焼きはてめぇの内儀に使えと言ってやりたいもんだ…





「ハッハッ…からかい甲斐のある奴だ…いやしかし歳がおなごに少なからず興味を示す等と珍しいと思ってな」




「話の出だしにしては丁度良い」





「?」





「何故俺が敢えてあの餓鬼を手元に置いたかだ」




「其れは…あの身寄りの無い娘っ子を不憫に思っての事であろう?未来の日の本からやってきたとなれば在所も存在しないであろうし、加えて夷人ともなれば幕府や御上にも頼れんであろう」



何を今更…と訝しげに勝っちゃんは腕を組み出す



この人の楽観的な佇まいは苛立ちが沸き上がる前に呆れて物も言えやしねェ…


其れももう慣れちまったがな…
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