歪んだ世界
「こんの野郎おぉっ！！」

河田は、優花を追いかける。運転手は、河田を引き止める。
「ちょっ、ちょっとお客さん、お金…それに、その怪我」と運転手が言うと河田は運転手をなぐりつけた。「うっせぇんだよっ！！」
運転手は、鈍い音と共に倒れる。
優花は、途中まで真っすぐ進んでいたが横にある森に目をやった。
「（森なら、うまくまけるかも。）」
と思い、森の中へと入って行った。
河田も少したってから、後を追う。
森の中は、木々の根が地面を覆い、つまづきやすい。
だが、それでも優花は河田のカバンを握りしめて必死に走った。後ろからは、河田の足音が聞こえる。少しでも休めば追いつかれるだろう…。
相手は男だ、しかも、こちらはカバンを２つも持って走っている。

圧倒的にこちらが不利だ。優花は、今更森に逃げ込んだことを後悔した…。

「（後悔より、まずどうまくかよっ！）」

優花は、息を切らして走り続ける。
後ろで河田の声が聞こえる。必死に逃げていると前の方に、少し広い空間が現れた。前に他の木より、大きな木が一本立っていた。
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