恋時雨~恋、ときどき、涙~
その時、上空がカラフルに明るく輝いた。


赤、青、黄色。


パープル、ショッキングピンク、イエローグリーン。


世界中のビーズをかき集め、花の形にして、夜空に散りばめたようだ。


夜空に火の花が散る瞬間に、隣に立っている健ちゃんが「おー」と何度も口を開けた。


わたしがじっと見つめていると、健ちゃんが言った。


「ドーン」


そう言って、健ちゃんは夜空を指差した。


「あのな、花火が打ち上がると、ドーンて音がするんけ」


そうだったのか。


知らなかった。


わたしが花火を見つめていると、健ちゃんが肩を叩いてきた。


「でな、上がってる時はウーって音がするんけ」


わたしは、健ちゃんの右手を引っ張った。


大きな手のひらに「う」と指で書いてみせると、健ちゃんは笑いながら首を振った。


「違うんけ」




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