恋時雨~恋、ときどき、涙~
昔、確か、小学1年生のころ。


近所の夏祭りで、お父さんが買ってくれたおもちゃのネックレス。


おもちゃの指輪。


高校の卒業式の後、ふたりっきりで街へ繰り出した。


その時に購入した、静奈とお揃いのピアス。


大人になった気分で、嬉しかったっけ。


小さな箱には収まり切らない思い出が、次から次から溢れてきた。


その中でも、いちばんそれが輝いて見えて、無意識のうちに手にとっていた。


去年の夏。


みんなで花火を見に行った時に、健ちゃんがくれた物。


ひまわりの髪飾り。


『ひまわりみたいに笑うんけな』


あの頃はまだ、言葉を両手で伝え合うなんてできなかった。


必死に、健ちゃんの唇の動きを読み取っていた。


健ちゃんは言ってくれた。


『おまえ、ひまわりみたいに、元気に、笑うんけ』


髪飾りを強く握り締めて、わたしは息を飲み込んだ。


涙が出そうだったから。


わたし、今も、ひまわりみたいに元気に笑う事ができているのかな。


きっと、もう、あの夏みたいに無邪気に笑えていない。


もう、限界だ。


もう、ひまわりみたいに笑うことは……できない。


髪飾りを握り締めたまま、わたしは部屋を飛び出した。


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