◆太陽のごとくあいつは◆
『無論、迷いがなかったなんて言えば嘘になるけど…
とにかくオレはその話に乗った。』
『…………』
美夏は黙って聞いているしかなかった。
手が震えるのがわかる。
昨日まで彼に触れていたその手が。
『おかげで名前も随分売れたし、千佳と別れた後も結構あちこちの教室やジムから声がかかるようになってさ。
でも、日本でやってると、色々うるさいことも多くてね。
いっそ世界に出ようかと考えていたが、麻美の両親から提案があって…
麻美の初めての大会の優勝を条件に、オレを5年間もの保障でベガスに出してやろうってさ。
麻美にもそれくらいの実力はあったし、これは楽勝だって思った。
ただ一つ予期しなかったことは…この合宿にもう2年も会っていなかった君が参加していたことだな。』
『………』
『正直言って、ヤバィと思ったょ。
案の定、1次予選で見た君は…以前より一段と腕を上げてた。』
やっぱり…そうだったのか…
『じゃぁ…やっぱり、あなたの目的は…』
『…………』
部屋に沈黙が流れた。
ここで、初めて雨が降っていることに美夏は気づいた。
『確かにオレは…君とパートナーの仲を…』
『っやだ!!もう言わなくていいっ…』
言いかけて、部屋のドアが勢いよく開いた。