=凪=
『手、手をどうする?』



ほどけないまま、引っ張られるように館内に入った。


「大人、二枚!」



有無を言わさず、踏み込んだその中は、海の世界が小さく広がっていた。


まるでお伽話のように進む世界。



思わず夢中で見入ってしまった。



そして何も言わず一緒に、楽しんでくれる先輩。



なんだか不可思議な時間が、流れているような気がする。



「さて、帰るか!」



水族館を出ても、あちこち見て回っていた先輩は、やっと帰る気になった。



楽しかったけど、ちょっぴり、くたくただった。



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