風トンボ
「あはは、だってそのほうが呼びやすいし可愛いんだもん。」



朝っぱらから元気なヤツだな、と思いながらも



反田は彼女の頭を優しく撫でる。



「可愛いってお前な……」



あんまりベタベタしすぎると



きっとさっきの上司から怒鳴り声が飛んでくるだろうと思い



少し距離を置いた。



これも2人にとっては普通なことだ。



「そんなことよりさ、さっきはどうしたの??」



反田が椅子に座ったところで



琉希亜がそっと聞いてきた。



「ん?何でもないよ。」



あまり心配してほしくないという気持ちの表れか



反田の口からは自然と言葉が漏れていた。



「本当に??」



「うん。」



反田のその言葉を聞いて



ほっと胸を撫で下ろす琉希亜。



「でも、あの上司はそーとーうっとうしいから気をつけなよ??」



「分かってるって。」
< 6 / 9 >

この作品をシェア

pagetop