ブラッディ アリス
一人歩いて行くアリスを咄嗟に追いかけるミカエル。
「え?なんで?」
アリスは振り返ると、醒めた目でミカエルを見つめた。
「…カルサも同じグループじゃん。…お前が行くなら、俺も行く」
ミカエルは少し照れくさそうに答える。
そんなミカエルの言葉に対し、アリスは少し考えた後、「はぁ」と大きくため息をついた。
「…好きにすれば?…その代わり、チップ100枚は無条件でいただくからね」
「………ほんっと可愛くないな。…お前」
そうして二人は、賑わうカジノの奥に消えて行った。
ラビはアリスの後ろ姿を少し不安そうに見つめる…。
そんなラビの顔を、笑顔でのぞくイザベラ。
「まっ…、アベル家当主の執事なら、その辺の貴族に全く劣らないから。気にしないでここにいなさい」
「…はは…。お気遣いありがとうございます…」
イザベラの言葉に苦笑いで答えたラビは、すでにアリスの姿はないカジノの人ごみを、真剣な眼差しで凝視していた。