ブラッディ アリス





残ったのは…アリスと…ナナリ…、二人の姉妹。


空を覆う黒雲が、大粒の雨を降らす。



「……半年後…なんて……嘘つき……」


母の墓の前で、全身をびしょ濡れにしたアリスが呟いた。




ぎゅっと唇をかみ締めたアリスは、この日から黒い服しか身に纏わなくなった…。




その後のアリスは、父や母の書斎や屋敷内にある全ての書物を読みあさる。


「……いつ出逢うかわからない……『うさぎ』…」


毎日毎日、アリスは書物を読む。

ナナリはショックで体調を崩してしまい、しばらく部屋から出てこなかった。



もう誰かが殺されるのは嫌だと、アリスは新しい使用人を一切とらず…。

そんなアリスを心配したカイルが、時折ハインリヒと共にアベル家へと訪れた。



アリエス国王やアリエス国貴族界、ゾディアックの面々は裏で着々と準備を進め…、前当主ウィンの死から半年後、アリスを正式なアベル家当主に任命。



それとほぼ同時に、ナナリの体調も回復…。


アリスも屋敷内の全ての書物に目を通し終えていた。








< 553 / 657 >

この作品をシェア

pagetop