恋心
野田くんは何か言いたそうだったけど私のオーラに負けたのか話しかけてこなかった
私は通りすぎると小走りに階段を駆け降りた



図書室に入り隅っこの席に座った。机に顔を伏せ何も考えないようにした

背後に人の気配がした。顔をあげるのが怖くてそのままいたら聞き覚えのある声で

「どうしたの?」

と声をかけてきた。聞いた事ある声だけど誰の声か分からないのでゆっくり振り向くとそこには美由紀さんがいた

美由紀さんは私が思い詰めたように図書室に入ってきたのを見て気になって声をかけてくれたみたいだ

私は何をどう言ったらいいのか分からず黙ってしまった

そんな私を美由紀さんは黙って見てた

何か言わなきゃいけないんだろうけど何を言っていいのか分からない…

「翠ちゃんと何かあった?」

何も言えずにいる私に美由紀さんは優しく聞いてきた

私はその問いに頭を横に振って答えた

小学生みたいな答え方しかできない自分に腹が立った

「すみません」

私は声にならない声でそう言った
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