恋心
私は校門を出たところで思いきって言った

「一人で帰れるから!」

その言葉を野田くんは無視して家とは逆の駅に向かう道を歩き出した

駅まではずっと川沿いでゆっくり歩いて20分ぐらいだった

私は並んで歩くのも抵抗があったので少し後ろを歩いた

お互い黙ったまま歩く…

とても気まずい

昨日なら楽しく話しながら帰ってたんだろうな…

私はそんな事を思いながら歩く

「さっきはごめんな…」

いきなり野田くんがつぶやいた。私はビックリして思わず立ち止まってしまった

そんな私に振り返り

「さっきはごめん」

と今度は目を見て謝った。私は首を横に振り

「野田くんは悪くないよ」

その言葉に野田くんは微笑みながら

「やっとしゃべってくれた」

と言った。私はさっきまでの怖い野田くんが嘘のような気がした。でも私はその野田くんの笑顔に答える事が出来ずに下を向いた

そしてまた一言

「ごめんななさい」

と謝った。そんな私に野田くんは、頭をポンポンと叩き

「もういいよ。何かあったんだろうけどもう聞かないよ」

そう優しく言ってくれた

私は涙が溢れそうなのを必死でこらえた
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