トラックで輝く君を
───……



「明日で帰るのかぁ。」





夜練習もご飯もお風呂も終わって
部屋でのんびりしていた時に、そう言ったのは智美だった。





「そうだね。
せっかく仲良くなれたのにね、なんか寂しいな。」





話に乗ったのはいずみちゃん。

そらちゃんの双子の妹さん、いずみちゃんは、そらちゃんよりも物言いの強い、しなやかで芯のある女の子。

心なしか、同じ顔をしているけど表情はりりしく見える。





「もっと一緒に練習したいよね。」



「本当。せっかく智美さんと友達になれたのに。」



「私も。ひさしぶりに骨のある1年短距離と出会えたのに、次に会うのは大会なんてね。」



「智美、ずいぶんと上から目線じゃん。」



「いいんですよ、蜜菜さん。
智美さんのほうがずっとずっとレベルの高い選手なので。」





…確かにね。

私から見ても、智美のレベルは他の人とは違う。



でも、いずみちゃんもかなりのレベルだと思う。

あすか先輩よりも、速かったし。




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