トラックで輝く君を
「でも、やっぱり自己ベストはなかなか越えられないよ。」





今は、ベストを楽に跳べるだけ。

それじゃ、上の大会では他の選手と戦っていけない。
まだ、追い付けない。





「うーん。私、思ったんだけど…バーがベスト以上の時は、拓馬は助走する前に絶対に足元見てる。
関係あるか、わからないけど…あんまり見栄えよくなかったから、伝えるね。」





そんなことも見てたんだ。

自分じゃ気付けなかった。



さすがはマネージャーだ。




「分かったよ。ありがとう。」



「ううん。偉そうにごめん。
私、タイムあるから戻るね。」



「お疲れさまっす。」



「お疲れさま。
拓馬、水分補給しっかりね。」





そう言って、佐藤さんは荷物の置いてあるところに戻っていった。





よし、もうひと頑張り。

陸上競技は個人競技。

まず、自分と自分の戦いに勝たなければ他人とは競えない。



俺は、そっちのほうが向く。





“みんなで”みたいな団体競技はあんまり好きじゃない。





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