トラックで輝く君を
そう言ったら
少しだけ、場の空気が変わった。



…まずいことを言っただろうか。





「あ、それ俺も不安だった。」



そう、顔は見えないところで聞き慣れない声がフォローしてくれた。





「初心者でも大丈夫よ。
私も、中学時代は陸上には関係ないことをしていたけど、1から色々と覚えたから。先輩たちが教えてくれるから、安心して入部してね。」






市村先輩のその言葉に安心した。



そして、フォローを入れてくれた男の子の存在や、やる気のある沙耶や智美。



うまくやっていける。

そんな気がして、私は陸上部への入部を決めた。





その日、結局フォローを入れてくれた男の子は分からなかった。

…お礼をしたかったのに。
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