トラックで輝く君を
最高の記録をたたきだした涼ちゃんは上機嫌だった。



先生も、いつもよりもテンションが高いみたいで、ミーティングが迷惑なほどに長かった。





「「「お疲れさまでした。」」」










解散して、私はすぐに涼ちゃんのもとに駆け寄った。





「約束、守ってくれてありがとうね。」



「別に。…前向いて歩けよ。」



「うん。」



「じゃあ、健人先輩たちが待ってるから行きな。」



「うん。またね。」





私は涼ちゃんから離れて、健人先輩たちのほうへ行った。もう少しだけ…涼ちゃんといたかったけど、仕方ない。





「どうかしたのか?」



「いえ、別に。」



「みっつ-な、可愛い♪」



「正樹、何言ってんだ?
…疲れたし帰ろうぜ。」





先を歩く健人先輩を確認したら、後藤先輩はやれやれって顔をして小走りで追っていった。



その後ろを、私も走って追った。





夕暮れの日は、見事な橙色で、私の温かい心と同じ色だった。





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