キューピットは求人誌!?
言うと男性は目をみはって見詰めてくる。
「世の中を俺に当てはめないで貰いたいな。
俺は今月の求人誌が無いとヤバいんだよ」
あまりにも真剣な眼差しで言われたので、少し譲ってあげようかな、などと靡いてしまいかけた。
やはり、美形は危険だ。
早くこの男性から求人誌を奪い逃げろと本能が告げている。
「今月ピンチって言うのもどうせ嘘でしょう?
ピンチな人がそんなに良い服着てるわけないもの」
ビシッという効果音が出そうな程強く空を切り、男性を指差す。
本屋にはいつの間にかギャラリーが出来ていて、私の指摘に何人か頷く人がいた。
逆に、男性を応援する人達もいてーー多くは女性だがーー「やってやんなさいよ」とか「負けないで」とか口々に言っている。
まさに、ある種の戦場。