キューピットは求人誌!?
そこには中年のおじさんと表現するのに相応しい男性がいた。
その手に、例の求人誌を持って。
「ちょっと!私のオアシス!!」
声を張り上げると中年の男性はこちらを向いて悲しそうに微笑んだ。
「実は私、長年勤めていた会社をリストラされたんです」
「あの……はい」
苦虫を噛み潰したような顔でぼそぼそと言う中年の男性。
その表情に何も言えなくなる私。
「お嬢ちゃん、すまないねぇ。私の家族を救うと思ってここは、どうか…」
レジの店員さんから受け取った、求人誌が入った袋を大事そうに抱えて懇願する姿が凄く切なそうで私は言葉を失う。
責められているような気がして良心が痛んだ。