ベンジャミンの窓辺で
「ねぇ~一足くらいいいじゃん。こんなにたくさんくれたのに全部返すなんて悪いよ~」

「もらう方が悪いわよ。今日はヒールが抜けたからしょうがなく買ってもらっただけで…」

「そのヒールは誰のものよ!」

「う…」

「ね!葉月が買ってもらったやつは葉月のものでいいからさ!このディオールだけちょうだい!?いいじゃぁーん。葉月あたしのヒール壊したんだからねー」

「んーそれはほんと悪かったと思ってるけど。もう…しょうがないなぁ。一足だけだからねっ。大事にしなさいよー」

「やったー!♪超うれしい!ありがとー葉月!」

ぎゅっと抱きしめられる。

「っで!?どうだったの今日!?」

あたしはヒールを買ってもらったことから、ベンツに乗ってたくさんの話をしたこと、素敵な船でのディナークルーズ、そこでもたくさんの話をしたことまでを話した。

「へーやっぱり、金持ちは違うね。てゆかいいなぁ。あたしもAOI見てみたい!」

「でも西園寺ってなんか…思ってた人と違うなって思った」

「どんな風に?」

「なんか…芸能人だし、しかも金持ちだし。かなりとっつきにくそうだなって、思ってたんだけど…」

「だけど?」

「そのーなんていうのかな…」

あたしは西園寺を突き飛ばした時のあの笑顔を思い出す。

【可愛いなって…(笑)】

――カァー

「え、何赤くなってんの?」

「は?」

「だって真っ赤だよ?」



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