ベンジャミンの窓辺で
入社式というのは、限り無くつまらないものだった。

一体あと何人スピーチするんだろう…

終わるまでそんなことばかりを終始考えてた。



「葉月!!」


振り返ると、姉の弥生がいた。


「お姉ちゃん!来てたの?来れないんじゃなかった?」

「今日は午前半休とったのよ。あんたがへましないか見張らなきゃ」

「もうー笑」



笑いながら何枚か写真を撮り、そのあと二人で駅前の喫茶店に入り。遅いランチをすることになった。


アイスコーヒーがはこばれてきた時、弥生は口を開けた。



「あたしね、結婚することになったの」


その言葉を聞いて、あたしは手に取ったストローをポトッと落とした。


「嘘!?」

「まじ」

「やったじゃん!!相手はどんな人?」

「普通のサラリーマンよ。稼ぎも容姿も普通。でもなかなか良い人なの」

「へぇ~~笑」


意識しなくても顔がニヤけた。


「今度一回食事したいって言ってたから、時間つくって」

「もちろん!!ちゃんとお姉ちゃんの相手に相応しいのか確かめないと」

「あたしのことなんかより自分の心配しなさいよ。22にもなってチェリーガールだなんて…姉として恥ずかしいわよ」

「う…それを言わないで下さい…」

「最近なんかないの~??気になる人とか」

「あー…」


西園寺の顔が頭に浮かんだ。




< 44 / 52 >

この作品をシェア

pagetop