ベンジャミンの窓辺で
「なんか…」

あたしは西園寺とのことを掻い摘まんで話した。

「…みたいな感じ。まぁ世界の違う人だから、好きっていう感じにはなってないんだけど」

「……」

「…お姉ちゃん??」


話を聞き終わった弥生は、キョトンとしていた。


「あっ、あんた何言ってんの!!だってそれって……」


急に持っていたホットコーヒーのマグカップをガシャンと置き、隣りの席に置いてあった鞄をひったくる。


そして中から一冊の週刊雑誌を取り出した。


「これのこと!?」


《大会社の御曹司AOI、庶民と豪華ディナークルーズデート!!》


そう大きく書かれたページにあたしは釘付けになった。


「…何これ」

「え!?まさかこの庶民って、葉月のことなの!???」


確かに、記事にはあたしと西園寺があの日行ったディナークルーズのことがしっかりと記載してあった。


「うん…あたしのことだね」


「マジで!?凄いじゃん!!」

「でもこんな報道されてるなんて……」


相手の東京都在住のAさんとされていて、写真も一枚しか載っていなかったから、誰もあたしのことだとは分からないだろうが、それでも良い気はしなかった。




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