オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】



親父は何の変哲もないごろ寝正月を送り、俺はと言えば、体を鍛えるための鍛錬と自分のための勉強をする。


挨拶周りや初詣やお年玉や除夜の鐘。


そんな人並みの過ごし方なんてとうに諦めてた。


産土本家からは正月や盆には何度となく帰省するよう催促がくるが、それはあの魔性女や祖父母が世間体を慮(おもん)ばかっているだけで。


息子や孫と新しい新年を気持ちよく迎えたい、といった意図など決してないのだから。


だから、俺はいつもこの時期、産土本家からの使者を追い返すため、来客には全て居留守を使っていた。


そういえば昨夜から何度か正面のインターホンが鳴ったが、俺は当然無視した。


かなりしつこくてよほど怒鳴りつけようかと和室の窓を開けかけたが、産土本家の使者だったらまずい。


そう思って結局シカトして眠りに就いたが。


今朝台所を覗けば、我が家の食糧事情は惨憺たる有り様だったから、俺は仕方なくロードワークに出るついでに買い出しに行かなければならなくなった。


ここで俺が動かねば、数日後には餓死するからな。


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