オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
「オハヨ、キャン」


「おっス!」


「おはよ、チカ、ケン。あ〜あ!あんたたちの半径5m以内にいるとめっちゃ暑いんだけど」


 あたしがわざとらしく制服のえり元をバタバタと動かすと、チカに腕にしがみつかれてたケンは心もち身体をずらしてた。


 チカはあたしの3軒隣、ケンは5件隣のご近所で、こういう例に漏れず幼なじみの友達。

もっとも、チカは十年来のケンへの想いが今年の夏にやっと実ったばかりだから、当てられっぱなしになってもしゃあないよねぇ。


「今年の猛暑の原因はあんた達だよね、絶対」


「もう、キャンってば!ケンまで気にしないで!チカのカレなんだから、もっと堂々としててよ」


「つってもなぁ」


 ケンは照れたりした時の癖で、首筋を軽く掻いている。


 ケンはもともと平凡な外見だったんだけど、チカが告白して付き合うようになった夏休みの初めから、ファッション雑誌とか友達の講義を受けて、一生懸命変えようと努力してた。


それだけチカが大事なんだろうな、とあたしはちょっと羨ましかったりした。
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