オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
あたしの右足には、あの大蛇のモノらしい胴が巻き付いていた。


あたしはゴクリと唾を飲み込み、足首に絡んでる大蛇の一部分から視線でそれを辿ってゆくと。


確かに、大蛇はそこにいた。


ただ、普通の蛇と違うのは、全身がウロコで覆われているだけでなく、わき腹から無数の手が伸びていた事。


あたしが悲鳴を上げるのと大蛇が動き始めたのは、ほぼ同時だった。


じりじりと近づいてくる大蛇から逃れようと、あたしは後ずさった。


でも、絡みとられた右足のせいで逃れられない。


大蛇は鎌首をもたげ、あたしの顔に牙が並んだ口を見せるように大きく開いた。


「伏せろ!!」


有無をいわせぬ鋭い叫び声だった。


あたしはそれが耳に入った途端、反射的に体を仰向けにして倒れた。


パンッと爆竹を鳴らしたような音がして、その直後に野太い奇妙な叫び声が大蛇のいる方向から聴こえる。


打った頭を押さえるあたしのすぐ横を、誰かが走り抜ける音がした。


そちらに目を向ければ、信じられない光景が繰り広げられてた。
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