オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
8
あたしはトレーを持ちながら、何度も深呼吸をして胸を押さえた。
トレーに載ってるのはお粥じゃなくて、おにぎりとお味噌汁。
あたし達が夕食の中で明日遊びに行くために話し合いをしてたら、狩野さんが顔を出してナギにおにぎりを持っていってあげて、と言ったから。
あたしは躊躇いながらも「わかりました」と答えて、直ぐにおにぎりを握ったんだよね。
お粥じゃなくおにぎりでいいなら、少しは快復したのかな?
そう思うと、やっぱり嬉しい。
もしあたしが苦しいとしても、ナギには苦しんで欲しくないから。
ナギは今まで十分苦しんだから……。
これ以上は心身の痛みや苦しみを味あわせたくない。
だから、あたしが頑張らなきゃ。
ナギの分まで頑張って依頼を成功させなくちゃ。
そう考えながら、ナギが泊まってる部屋のドアに近づいたけど。
ドアはもう開いていて、うっすらと淡い光が向こう側からまっすぐ射し込んでた。
その光を辿ってみれば、サンルームをくぐり抜けて外に出た。