オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】





あたしはトレーを持ちながら、何度も深呼吸をして胸を押さえた。


トレーに載ってるのはお粥じゃなくて、おにぎりとお味噌汁。


あたし達が夕食の中で明日遊びに行くために話し合いをしてたら、狩野さんが顔を出してナギにおにぎりを持っていってあげて、と言ったから。


あたしは躊躇いながらも「わかりました」と答えて、直ぐにおにぎりを握ったんだよね。


お粥じゃなくおにぎりでいいなら、少しは快復したのかな?


そう思うと、やっぱり嬉しい。


もしあたしが苦しいとしても、ナギには苦しんで欲しくないから。


ナギは今まで十分苦しんだから……。


これ以上は心身の痛みや苦しみを味あわせたくない。


だから、あたしが頑張らなきゃ。


ナギの分まで頑張って依頼を成功させなくちゃ。


そう考えながら、ナギが泊まってる部屋のドアに近づいたけど。


ドアはもう開いていて、うっすらと淡い光が向こう側からまっすぐ射し込んでた。


その光を辿ってみれば、サンルームをくぐり抜けて外に出た。


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