オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】



「じゃあ、もしかして皇家の跡取りなの?」


あたしが疑問を口にすると、赤石はフッと自虐的な笑みを浮かべた。


「もしそうならば、と私は何度も考えたよ。
もしもそうならば、凪には負けず堂々と対決出来る。
だが、所詮は産土本家にすれば闇に葬った子ども。
それはそうだろうね、安子が許嫁の皇家に嫁ぐ前に産んだ私生児なのだから」


「え……」


「産土本家は口封じの為に、養育費と言って莫大なお金を義父母に支払ったらしい。
だが、それに目が眩んだ義父がそれを持って蒸発し、裏切られた義母は精神を病んでしまったんだ。
私は義母に否定されながら育った。
あんたなんかいなければ、生まれてこなければよかった……と。
頼るべき者から拒絶され、否定され続けた私は、自分さえいなければ、と何度も自殺未遂を起こした。
学校でもひどい虐めを受けていた。
逃れる術も知らず、ただされるがまま。
私の心には、自分がいなければと考えていたから。
そんな時、逢ったのが君だった。
私は茸取りに来ていて偶然その現場を見つけたのだけれど」


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